無線LANの速度をこれまでの11a/gの54Mbpsから最大600Mbpsまで拡張させた仕組みである。※ただ、11n対応ならすべて600Mbpsというわけではない。製品としては450Mbpsが最高である(H24.7月時点)。また、実際には150Mbpsが多いだろう。

■1.高速化の概要
詳しくは後述するが、簡単にいうと以下。
1)技術革新により、54Mbpsを72Mbpsに高速化
2)チャンネルを2倍に束ねて送信 → 72M x 2 +α=150Mbps ・・・チャネルボンディング
3)アンテナを複数にして同時送信 → アンテナを2倍にすることで150M x 2=300Mbps、3倍で450Mbps、4倍で600Mbps ・・・MIMO 

■2.高速化の技術
基本的な技術は
(1)MIMO
(2)チャネルボンディング
(3)GI(ガードインターバル)
(4)フレーム・アグリゲーション がある。
以下に解説する。

(1)MIMO(Multiple Input Multiple Output)
MIMOの言葉通り、Multiple(多く)の電波のInput(入力)とMultiple(多く)の電波のOutput(出力)である。MIMOはアンテナを複数に束ねて高速化する。複数のアンテナで同時に送信したら、早くなるよねー。という理論である。※チャンネルは同一。

以下は、ArubaのAPとMIMOの状態の例である。
機種AP-105AP-125AP-135
MIMO2x2MIMO
2ストリーム
3x3MIMO
2ストリーム
3x3MIMO
3ストリーム
アンテナ内蔵拡張(3基)内蔵
最大速度300Mbps300Mbps450Mbps
2x2は、送信用アンテナ2本、受信用アンテナ2本という意味。
i

ということは、2x2で、4本のアンテナがあるということですか?
そう思って間違いではない。ただ、AP-125のように、1本で送受信を兼ねている場合、3x3でもアンテナは3本だ。また、AP135のように内蔵アンテナの場合、アンテナがどうなっているかはわからない。
それと、注意すべきは、MIMOによる高速化はストリームで考える。
AP125であれば、3x3だが、ストリームは2なので、最大速度は300Mbpsである。アンテナが多くても、実際に多重しなければ高速化されない。どれだけ多重化しているかがストリームである。
e

なるほど、MIMOのアンテナは物理的なものを言っているのですね。
でも、MIMOは同じチャンネルで多重するんですよね?
そうなら干渉するからアンテナを増やしても同じでは?
その疑問はその通りだけど、干渉するとかそういう次元ではない。(後日詳しく記載予定)

(2)チャンネルボンディング
bondは「結ぶ」という意味で、bondingは「結びつける」と考えればいいだろう。チャンネルを複数結びつけるという意味だ。チャンネルを複数に束ねて高速化する。通常は20MHzの幅で通信するが、チャンネルをボンディングして倍の40MHzの幅で送信すると速度も2倍になるという計算である。
f

たしかに、束ねたほうが高速化するのは当然だと思います。
でも、電波干渉はしないのですか?
そう。電波干渉はする。だから、チャンネルボンディングをすると、使用できるチャンネル数が減る。11b/gであれば、3チャンネルではなくて2チャンネル(or 1ch)しか利用できない。
c 
えー
だったら、11nを使っても、使えるチャンネルが減るから結局は一緒では?
だって、 密集エリアにて、11gを1、6、11の3チャンネルでAPを配置している場合、11nで使用できるチャンネルが減ったら、設置できるAPも減りますよね?
確かにその通り。だから、11b/gはMIMOだけを使用してチャネルボンディングを使わないとか、11nは11aの5GHzにみで使うことが多くなるだろう。または、大人数で使うのではなく、少人数で少ないチャネルで使う場合には有効だろう。

(3)GI(ガードインターバル)の短縮
ガードインターバル(GI:Guard interval)とは、干渉を防ぐための冗長な部分である。無線の電波は、直接届くもの以外に、反射して遅れて届くものもあり、それが干渉になることがある。これを防ぐために冗長な部分を用意している。
11a/gの800ナノ秒を、11nでは400ナノ秒に設定できる。
11a/gに比べてガードインターバルを短くすることで、54M→72Mに高速化する。

(4)フレーム・アグリゲーション
無線LANのヘッダやプリアンブル部分のオーバヘッド部分の占める割合は多く、実行スループットの悪化につながる。そこで、複数のフレームをまとめて送ることで、このオーバヘッドを少なくするという考え。まあ、シンプルな考えだ。

H24午後1問3には、フレームアグリゲーションに関する問題がある。
G君:IEEE 802.11nでは,フレームアグリゲーションを使って,.侫譟璽爐料信待ち時間と確認応答の回数を減らすことで遅延時間を短縮し,データの高速なやり取りが可能になります。ただし,使用するアプリケーションによっては,▲侫譟璽爛▲哀螢押璽轡腑鵑留洞舛鮃洋犬垢詆要があります。

設問2
 (1) 本文中の下線,鮗存修垢襦ぅ侫譟璽爛▲哀螢押璽轡腑鵑了伝箸澆髻25字以内で述べよ。
 (2) 本文中の下線△韮之が指摘した,フレームアグリゲーションの影響とはどのようなものであると考えられるか。40字以内で具体的に述べよ。

(1) の解答例
 「宛先が同じ複数のフレームを連結して送信する」
(2) の解答例
 「無線チャネルの占有時間が長くなり,その間は他の通信が待たされる。」

また、技術的には以下の2種類がある。
MSDU(MAC Service Data Unit)
 宛先が同じフレームを集め、それに無線ヘッダをつけて送る。
MPDU(MAC Protocol Data Unit)
 無線のヘッダに変換し、宛先が同じものを集める。とはいえ、フレームフォーマットを見ればわかるように、厳密には宛先が違っても問題ない。
 フレームフォーマットをみればわかるように、伝送効率は,鉾罎戮督磴
msdu