ネットワークスペシャリスト - SE娘の剣 -

左門至峰によるネットワークスペシャリストの試験対策サイトです。勉強方法、合格体験談、合格のコツ、過去問解説、基礎知識などの紹介します。

VXLAN

1.VXLAN

1.1 VXLANとは

 VXLAN(ブイエックスラン:Virtual eXtensible Local Area Network)はフルスペルのとおり仮想的にLANをeXtensible(拡張)したプロトコルです。従来からあるVLANの場合,設定できるVLAN IDの上限は4094個です(VLAN IDは12ビットで,2の12乗=4096)。一般の企業において,この上限値を超えることはあまりないでしょう。一方,AWSやAzureのような大規模クラウドサービスの場合,4094ではまったく足りません。そこで,VXLANです。
 VXLANでは,VXLANを識別するVNIというIDを約1,677万個作成できます(VNIは24ビットで,2の24乗=16,777,216)。プロトコル上は約1,677万のレイヤー2ネットワークを作れるようになるのです。
 さて,VXLANの名前だけ見ると,レイヤー2プロトコルのような印象を受けます。実際,VXLANによって,離れた場所にあるセグメント間を,あたかも同一セグメントであるかように接続できます。ですが,VXLANは,VLANのようにレイヤー2に閉じた技術ではありません。VXLANは,レイヤー2のイーサネットフレームをレイヤー3のIPパケットにカプセル化する仕組みです。こうして,物理的または論理的に離れた場所にあるレイヤー2ネットワーク(セグメント)間を,レイヤー3ネットワークを経由して相互に接続できます。

1.2 オーバーレイネットワークとアンダーレイネットワーク

 オーバーレイ(overlay)という言葉には,「重ねる」「被せる」の意味があります。オーバーレイネットワークとは,下層のネットワーク(アンダーレイネットワーク)の上に被せて作ったネットワークのことです。
 R6の問題では,オーバーレイネットワークを実現する技術としてVXLANを使います。具体的には,下層にあるアンダーレイネットワークの上にレイヤー2のオーバーレイネットワークを作ります。(ちなみに,オーバーレイネットワークでは,ポートベースVLANも作成できます。)
 たとえば,AWSの東京リージョンの場合,172.31.0.0/16というVPC(仮想ネットワーク)が,三つのデータセンター(AZ)をまたがって構築されます。そして,各AZ内に172.31.1.0/24,172.31.2.0/24 などの複数のサブネットを作ります。もちろん,利用者Aも利用者Bも利用者Cも,それぞれの172.31.0.0/16という同じVPCを利用できますが,それぞれは独立しており通信が混じることはありません。内部仕様は公開されていないので憶測が含まれていますが,以下のような構成です。まず,データセンタ間を接続するために,L3SWやルータなどを使ってレイヤー3のネットワークを作ります。これがアンダーレイネットワークです。次に,VXLANを使い,このアンダーレイネットワーク上に,仮想的なレイヤー2のネットワーク(オーバーレイネットワーク)を複数作ります。

1.3 VNI(Virtual Network Identifier)

 VNIは,VXLANで作る論理的なネットワークの番号(Identifier:識別番号)です。VLANではVLAN IDでVLANを識別し,VLAN IDは12ビット(=4,096)でした。一方のVXLANのIDであるVNIは24ビット(=約1,677万)です。つまり,約1,677万個のL2ネットワークを作ることができます。

1.4 VXLANパケット

 VXLANパケットは,L2フレームをIPパケット(UDP)でカプセル化したものです。VXLANパケットの構造は,問題文で以下のように示されました。

 では,VLANとVXLANのフレームの違いを見てみましょう。
 VLANはレイヤー2の情報だけで構成されますが,VXLANはレイヤー3の情報(IPv4ヘッダー)とレイヤー2の情報(VNIヘッダーやイーサネットフレーム)で構成されています。


先頭のIPv4 ヘッダー,UDPヘッダー,VXLANヘッダーはアンダーレイネットワークの情報です。イーサネットフレームは,オーバーレイネットワークの情報です。


このネットワーク構成図で補足します。イーサネットフレームのデータ部分には、実際にはIPヘッダもあります。そのIPアドレスは、構成図にあるように192.16.1.xのIPアドレスです。そして、VLXNではVLAN110を識別するための情報として、例えばVNI=10010が記載されます。そして、IPヘッダでは、アンダーレイネットワークとして、10.0.0.xのIPアドレスで通信が行われます。

1.5 VTEPの動作

(1)VTEPとは

VTEP(VXLAN Tunnel End-Point)は,フルスペルのとおり,VXLANのトンネル(Tunnel)の終わり(End)の地点(Point)です。
VTEPの解説の前に,問題文の図1で,VTEPがどこにあるかを確認しましょう。

 このように,VTEPは,L3スイッチの中にあり,他のVTEPとVXLANトンネルで接続していることがわかります。VTEPですが、インターフェースを指すこともありますが,今回の場合,L2ネットワークを構築するための仮想的なネットワーク機器だと考えてください。異なるL3SW内にあるVTEP同士をVXLANトンネルで接続して,仮想的なレイヤー2ネットワークを構築します。実際,上記の図では,6台全てのサーバが,一つのレイヤー2ネットワーク上に存在します。
 VTEPが何をしているかというと,VPNルータのような役割をします。サーバなどの端末からイーサネットフレームを受信すると,VXLANヘッダーなどを付与して(つまりカプセル化して)相手方のVTEPに送信します。

(2)VTEPの動作

VTEPの具体的な動作を以下の図で説明します。VM11とVM31は,物理的にも,アンダーレイのネットワーク的にも離れた場所にあります。しかしVM11とVM31は,同一セグメントにあるかのようにレイヤー2で通信できます。
 かなり複雑な図になってしまいましたが,図と番号❶~❼を一つ一つ確認しながらVTEPの動作を理解してください。

1.5 EVPNの仕組み

EVPNは,EVPN全体を制御する仕組みであるコントロールプレーンと,実際にデータを運ぶ仕組みであるデータプレーンの組合せで構成されます。

1.6 メーカー

AristaやCiscoが代表的

2.CiscoのSD-Access

2.1 VN (Virtual Network)

(1)概要

・VN (Virtual Network)は、実体は VRF (L3の仮想化) です。
・接続例

+-------+-------+                  +--------+--------+                +--------+--------+        +-------+-------+
| 端末 (Client) | ---------------- | Edge Node (EN)  | =============> | Border Node (BN)| ------ | Fusion Router | ---> [ 社内サーバ ]
+-------+-------+    (VLAN 10)     +--------+--------+  (VN:Employ)  +--------+--------+        +-------+-------+      (業務システム)
                                     (アクセススイッチ)                     (コアスイッチ)             (境界ルータ)

+-------+-------+                  +--------+--------+                +--------+--------+        +-------+-------+
| 端末 (Client) | ---------------- | Edge Node (EN)  | =============> | Border Node (BN)| ------ | Fusion Router | ---> [ インターネット ]
+-------+-------+    (VLAN 20)     +--------+--------+  (VN:Guest)   +--------+--------+        +-------+-------+      (YouTubeなど)
                                     (アクセススイッチ)                     (コアスイッチ)             (境界ルータ)

 ※Guest VNの中にいる人は、Employee VNの中に絶対にアクセスできません。これが「VRF(VN)が分かれている」という意味です。

(2)2つのVNI

ただし、SD-Accessには 2種類のVNI があります。

IDの種類 正式名称 何を識別する? 解説
L2 VNI Layer 2 VNI VLAN(サブネット) スイッチに入ってきた「VLAN 10」を、ファブリック内で識別するためのID(例:10010)
L3 VNI Layer 3 VNI VN(VRF) これが「VN」の識別子。複数のVLAN(L2 VNI)を束ねる、VRFごとの共通ID(例:50001)
(3)VNを使うメリットは?

① 完全なセキュリティ隔離(マクロセグメンテーション)
これが最大の理由です。 「社員用VN」と「IoT用VN(監視カメラなど)」と「ゲスト用VN」を作れば、物理的に同じスイッチやケーブルを使っていても、論理的には完全に別のネットワークになります。 ファイアウォールで細かく制御しなくても、**「VNが違えば通信できない」**という強力な壁を簡単に作れます。
② IPアドレスの重複が可能
VRF(VN)が違えばルーティングテーブルが別なので、理論上は「社員用VNで 192.168.1.0/24」を使い、「ゲスト用VNでも 192.168.1.0/24」を使うことができます。(運用がややこしいので推奨はされませんが、M&Aなどで会社が合併した際には役立ちます)。
③ 設定の簡素化(DNA Centerの恩恵)
従来、ネットワーク全体でVRFを切るのは、すべてのスイッチにVRF設定を入れる必要があり大変でした。 SD-Accessなら、GUI(DNA Center)で「新しいVNを作成」とポチっとするだけで、全Edge/BorderノードにL3 VNI等の設定が自動投入されます。

2.2 接続例

(1)すべてをSD-Access対応機器にする場合
【外部の世界】
  (インターネット / WAN / データセンター)
            ↑
            |  (普通のルーティング接続)
            |
+---------------------------+
|    Fusion Router (ルータ)  |  ← ※ここはSD-Accessの外側
+---------------------------+
            |
            | (ここが境界線!)
            |
+---------------------------+
|    Core Switch (L3SW)     |  <=== ★ここが Border Node です!
|  (例: Catalyst 9500)      |       (出口・関所)
+---------------------------+
            |
            | (アンダーレイネットワーク)
            |
+---------------------------+
|   Access Switch (L2/L3SW) |  <=== ここが Edge Node です
|  (例: Catalyst 9300)      |       (入口・受付)
+---------------------------+
            |
      [ PC / スマホ ]
(2)Layer 2 Extension(L2拡張)

・エッジには他社L2スイッチを入れる場合です。
・Edge Node(Cisco Catalyst 9300等)のポートを一つ使い、そこから他社製L2スイッチ(HPやAllied)に繋ぎ、そこにPCを複数台ぶら下げる形です。
・「コスト削減」という最大のメリットの代わりに、SD-Accessの「便利機能」が一部失われます。
たとえば、障害があった場合に、DNA Centerからは「Edgeの先で何か起きてる」までしか分からない。他社SWにはCLI等で(必要に応じて)VLAN設定が必要)
ポートごとに細かくDot1x認証による制御ができなくなる。

[ Catalyst 9300 (Edge Node) ]
        | Port 1/0/1
        | (設定: Trunk / Multi-Auth)
        |
+-------+-------+
| 他社製L2スイッチ |  <--- ここは手動設定が必要!
+-------+-------+
   |    |    |
 [PC] [PC] [PC]

2.3 登場人物

登場人物(役割名) 主な仕事(一言で) 使っている技術 物理的な場所(例) 製品例
Catalyst Center
(旧 DNA Center,DNAC)
総監督(設定自動化) HTTPS / SSH サーバールームまたはクラウド(AWS上) AWSのEC2のインスタンス等に導入可
ISE 認証・権限付与 RADIUS / TACACS+ サーバールーム
Control Plane Node(CP) 位置情報DB(Map Server) LISP コアスイッチ等に同居、つまりBNと同一筐体可能
Edge Node
(Fabric Edge Node)
端末収容・カプセル化 LISP / VXLAN 各フロアのスイッチ Catalyst 9200 / 9300 シリーズ
Border Node
(Fabric Border Node)
外部への出入り口 LISP / VXLAN / BGP コア/集約スイッチ Catalyst 9500 / 9600 シリーズ
Intermediate Node パケット中継のみ OSPF または IS-IS がしゃべれるL3スイッチ ENとBNの間に設置するなど Catalyst 9500 や9300、他社でもできなくはないが非推奨
Fusion Router VRF間の接続・外部接続・Shared Serverへの接続用 BGP / VRF-Lite コアのさらに上流
DHCPサーバ IPアドレスの払い出し   社内LANが一般的 なんでもいい
エッジのL2SW コスト削減目的で、エッジスイッチとして    
Shared Server 複数のVNからアクセスするサーバ   社内、クラウドに限らず DHCPサーバ、DNSサーバ、ADなど

2.4 用語

・SDA Fabric(SDAファブリック):一言で言うと「SD-Accessの技術(LISPやVXLAN)が適用されている範囲全体」のことです。

2.5 汎用的なVXLANとSD-Accessとの違い

(1)EVPN(MP-BGP)ではなくLISP

汎用的なVXLANでは、EVPNを使いますが、Ciscoの場合はLISPを使います。

特徴 EVPN(汎用的な技術) Cisco SD-Access
制御(コントロールプレーン) MP-BGP
(これがご提示のテキストの仕組み)
LISP
(Locator/ID Separation Protocol)
転送(データプレーン) VXLAN VXLAN
(※正確にはVXLAN-GPO)
管理主体 ネットワーク管理者
(CLIや各種ツール)
Cisco DNA Center
(現在のCatalyst Center)
(2)VTEPではなくEN

・SD-Accessにおいても、機能としてはVTEPを使いますが、SD-Accessの世界では名前が変わります。VTEP(VXLAN Tunnel Endpoint)ではなく、Edge Node (エッジノード)です。
・Edge Nodeでは、物理的な動作として、VTEPと同じくVXLANのカプセル化をします。また、論理的な動作として、 LISPを使って宛先を探します。

(3)動作の違い
手順 図の説明(汎用VXLAN) SD-Accessでの動き
学習済みのテーブルを見て宛先VTEPを決定 LISPキャッシュを見る。
無ければMap Serverに問い合わせて、宛先Edge Node(RLOC)を教えてもらう
VXLANヘッダを付与 VXLAN-GPOヘッダを付与
(SGTタグが含まれる)
OSPFで宛先VTEPへ転送 (同じ)
アンダレイのIS-IS / OSPFで転送
VNIを見てVLANへ転送 (同じ)
VNI(L2 LISP Instance ID)を見て転送

2.6 IPアドレスの割り当て

(1)アンダーレイネットワークについて

ケーブル単位で1つのネットワークと考えればいい。なので、物理的は装置間でセグメントが確実にわかれ、かつケーブルごとにセグメントを付与する。

(2)オーバーレイネットワークの基本的な考え方

・VRF(VN)ごとにセグメント(VLAN)を割り当てます。
・一つのVN(VRF)の中に、複数のIPプール(VLAN)を入れることができます。

■例:VN: Employee (VRF)
IP Pool A: 192.168.10.0/24 (VLAN 10: 東京本社のデータ用)
IP Pool B: 192.168.20.0/24 (VLAN 20: 大阪支社のデータ用)
IP Pool C: 192.168.30.0/24 (VLAN 30: IP電話用)
(2)IP pool とIPの払い出し基本的な考え方

・IP Pool(IPプール)の設定をしますが、「このVN(部署)には、このIPレンジを使う」と決めるのはDNA Centerです。
・実際のPCにIPを配るのは、通常 外部のDHCPサーバ です
・例外的にプリンタなどに固定IPアドレスを割り当てることは可能

(3)SVI

・SVI (Switch Virtual Interface) とは、 L3スイッチの中に作られる「仮想的なルータのインターフェース」のことです。
・ PCから見たときの 「デフォルトゲートウェイ」 になります。
・EdgeスイッチはL3スイッチとして動くため、内部にSVI(ゲートウェイ)を持ち、そこでルーティングを行います。

2.7 ルーティング

(1)アンダーレイネットワーク

L3限定です。スイッチ間はすべてOSPFやIS-ISで接続されます。L2(STP)は使いません。
・SDNから外へのルートティング(BGP/VRF-LiteやStatic)の設計も必要

(2)オーバレイネットワーク

L3 オーバーレイ(IPパケット)が標準 です。SD-AccessのEdge Node同士は、ルーティングプロトコルでネイバーを張りません。なので、ルーティングプロトコルは使わず、使うのは、LISP (Locator/ID Separation Protocol)です。
L2 オーバーレイ(イーサネットフレーム)もオプションで可能で、「L2 Flooding」を有効にすると使えます。

(3)Fusion RouterとSDA Fablic間

分断されたVN同士(VN1⇔VN2)や、外部(データセンター等)への通信を行うために設置するが、 ファブリック(Border Node)とFusion Routerの間は eBGP で経路交換を行う。

2.8 認証設計

以下の3つ+認証無しがある。

認証方式 主な対象 特徴 セキュリティ強度
① 802.1X認証 PC、スマホ、タブレット 基本はこれ。証明書やID/パスワードを使う。最も安全だが、専用ソフト(サプリカント)が必要。
② MAB (MAC Authentication Bypass、実質MAC認証) プリンタ、カメラ、IoT機器 802.1Xができない機器用。MACアドレスをIDとして認証する。
③ Web認証 ゲスト(来客) 一時利用者用。ブラウザでログイン画面を出してID/PWを入力させる。

また、認証で決まるのは、セグメント(VLAN)とSGTです。 ISE(認証サーバー)がそして、セグメントが決まることで、自動的にVN(VRF)も決定されます。
ISEからエッジスイッチに対して、RADIUS Access-Acceptを送りますが、そこで、以下のようにVLANとSGTを渡します。

Tunnel-Private-Group-ID = 10
Cisco-AVPair = cts:security-group-tag=10 (SGT)

2.8 無線LAN

無線AP(アクセスポイント)は「Edge Node (EN)」に接続

2.9 NW構成図

(1)機器配置

■クラウド
Entra ID

■サーバセグメント
・Catalyst Center (DNAC) ← SDA管理
・WLC (Catalyst 9800) ← 無線制御
・ISE (Primary/Secondary) ← 認証・ポリシー
・DHCP Server ← IP払い出し
・Local AD ← 認証DB
・Entra Connect(Windows Server) ←EntraIDとのLDAP連携
・各種業務サーバ

(3)VN (Virtual Network) と IPアドレス設計
用途 所属VN名(VRF) IP Pool名(サブネット例) ゲートウェイ(Anycast GW) 備考
基幹系(PC) Corp_VN Pool_Data(10.1.10.0/24) 10.1.10.1 一般社員用データ通信
音声(電話) Corp_VN Pool_Voice(10.1.20.0/24) 10.1.20.1 ※PCと同じVNだが、プールを分けることで自動的にVoice VLANが割り当てられる
監視カメラ IoT_VN Pool_Camera(10.1.90.0/24) 10.1.90.1 基幹系とは通信不可(完全隔離)
NW監視通信 INFRA_VN (Global) (Underlay IP) スイッチやAP自体の管理通信は、デフォルトの INFRA_VN を通る
(4)SGT(タグ)の設計

VNの中、あるいはVNをまたぐ通信のアクセス制御を定義します。

送信元 SGT 宛先 SGT 許可/拒否 設計意図
SGT_Employee SGT_Server_Core 許可 社員は基幹サーバにアクセスOK
SGT_Employee SGT_Camera 拒否 社員PCから監視カメラへの直接アクセスは禁止(覗き見防止)
SGT_Camera SGT_Server_Cam 許可 カメラから録画サーバ(NVR)への保存はOK
SGT_Camera SGT_Internet 拒否 カメラが勝手に外部と通信するのはウイルス感染の元なので禁止
SGT_Voice SGT_Voice 許可 電話機同士の内線通話は許可

アクセス制御は、基本はSGACL(SGTベース)で実施する。ただし、インターネットや、SD-Access非対応の古いネットワークへ出ていく場合、相手はSGTを理解できないので、出口のルータ(Border NodeやFirewall)で、従来どおりの IPアドレスベースのACL や Firewallポリシー を書く必要があります。

(5)帯域制御・優先制御 (QoS) 設計

DNA Center の「アプリケーションポリシー」で自動化

トラフィック QoSクラス(Cisco推奨) 具体的動作
音声(Voice) Platinum(Expedited Forwarding) 最優先。遅延・揺らぎを極限まで減らす。帯域保証を行う。
基幹系(Data) Silver / Default ベストエフォート。ただし重要な業務アプリ(Office365など)のみ、Goldに引き上げる設定が可能。
監視カメラ Gold(Video) 帯域は食うが、遅延には比較的強い。音声の次に優先する。
NW監視 Network Control 帯域は狭いが、輻輳時もパケットを落とさない(Telnet / SSH / SNMP など)。
(6)認証設計 (Authentication)

ISEでの制御として、「何をつないだら、どのVN/SGTに入れるか」の振り分けルールです。

デバイス 認証方式 ISEでの判定ロジック(AuthZ Policy) 割り当て結果
会社PC 802.1X 証明書あり OR AD参加PCである VN:Corp_VN
SGT:SGT_Employee
IP電話機 MAB + Profiling MACアドレス認証 +「Cisco-Phone」というプロファイルに合致 VN:Corp_VN
SGT:SGT_Voice
Voice Domain:ON
監視カメラ MAB MACアドレス認証(事前に許可リスト登録) VN:IoT_VN
SGT:SGT_Camera
未許可PC Guest / MAB 認証失敗、または特定のアカウント VN:Guest_VN
SGT:SGT_Guest
(インターネットのみ)

NAT

1.NATを設定してみよう

NAT(Network Address Translation)とは、そのスペルが意味するように、ネットワークアドレスの変換です。

(1)NATが求められる例

2 

NATなんて使うときあるのですか?
例えば、2つの部署をくっつけて、一つのネットワークにしたとします。どちらも192.168.1.0/24のネットワークです。IPアドレスの重複は正常な通信ができません。かといって、プリンタやらサーバやらで、いまさらIPアドレスを変更するのは大がかりとします。そのときに、アドレスを変換して通信すればいいのです。
nat1

Question:では、この場合、どのようなNATの設定をすればいいでしょうか。






Answer. 1つの方法ですが、R1とR1を接続して一つのネットワークのする際に、お互い相手からは、違うアドレスに見せます。
 ネットワーク①は172.16.1.0/24
 ネットワーク②は172.16.2.0/24
※片方だけでも構いません。
そのために、ルータR1では、172.16.1.0/24を192.168.1.0/24にNATし、ルータR2でも172.16.2.0/24を192.168.1.0/24のネットワークにNATします。

送信元NATと宛先NATのどちらかで言うと、
R1のNAT設定において、ネットワーク①からネットワーク②に向かう通信においては送信元NAT、ネットワーク②からネットワーク①に向かう通信においては宛先NATを実施します。

(2)NATを設定してみた

上記とIPアドレスが変わってしまっていますが、設定例を紹介します。
❶構成とNATテーブル
インターネットPC ⇒ ルータ  ⇒ PC(やサーバなど)が複数
203.0.113.2     203.0.113.1    192.168.1.2
            192.168.1.1
【NATテーブル】

変換前IPアドレス 変換後IPアドレス
192.168.1.2 10.1.1.2
192.168.1.3 10.1.1.3

こうすることで、192.168.1.0のネットワークを、外部からは10.1.1.0/24のネットワークに見せることができる。公開サーバのときは、10.1.1.0の部分が割り当てられたグローバルになるのであろう。

❷Config@1841
ポイントとなるConfigを記載します。

interface FastEthernet0/0
 ip address 192.168.1.1 255.255.255.0
 ip nat inside

interface FastEthernet0/1
 ip address 203.0.113.1 255.255.255.0
 ip nat outside

ip nat inside source static 192.168.1.2 10.1.1.2
ip nat inside source static 192.168.1.3 10.1.1.3

❸NATテーブル
NATはIPだけの情報を持つはずなので、以下になることを期待

Router#show ip nat translations
Pro Inside global      Inside local       Outside local      Outside global
--- 10.1.1.2           192.168.1.2        ---                ---
--- 10.1.1.3           192.168.1.3        ---                ---

しかし、実際にはポート番号も保持していた。別に、ポート番号を変換しているわけではないのだが、NATとNAPTの違いが分かりずらいなあと。

Router#show ip nat translations ※実際に通信をしないと表示されないかも
Pro Inside global      Inside local       Outside local      Outside global
tcp 10.1.1.2:50663     192.168.1.2:50663  203.0.113.2:443    203.0.113.2:443
tcp 10.1.1.2:50664     192.168.1.2:50664  203.0.113.2:443    203.0.113.2:443
--- 10.1.1.2           192.168.1.2        ---                ---
tcp 10.1.1.3:52602     192.168.1.3:52602  203.0.113.2:443    203.0.113.2:443
tcp 10.1.1.3:52603     192.168.1.3:52603  203.0.113.2:443    203.0.113.2:443
tcp 10.1.1.3:52604     192.168.1.3:52604  203.0.113.2:443    203.0.113.2:443
tcp 10.1.1.3:52605     192.168.1.3:52605  203.0.113.2:443    203.0.113.2:443
tcp 10.1.1.3:52606     192.168.1.3:52606  203.0.113.2:443    203.0.113.2:443
(3)送信元 (Source) NATと宛先 (Destination) NAT

・パケットのヘッダには送信元IPアドレスと宛先IPアドレスの2つがあることにともない、NATには、送信元 (Source) NATと宛先 (Destination) NATがある。
ネットワークスペシャリスト試験の過去問(H21NW午後1問3)では、送信元NATを「ソースNAT」という表現で記載している。
・Ciscoのコマンドでの送信元NAT
送信元IPアドレス192.168.1.1を200.1.1.1に変換

(config)#ip nat inside source static 192.168.1.1 200.1.1.1

※insideはIFのどちら側かを差しているので、あまり気にしないでください。
・Ciscoのコマンドでの宛先NAT

(config)#ip nat outside destination static 192.168.1.1 1.1.1.1

※outsideはIFのどちら側かを差しているので、あまり気にしないでください。

2.公開サーバにおけるNAT

NATの事例をもう一つ紹介します。これはよくある事例かと思います。 DMZの公開サーバですが、公開しているので、当然グローバルIPアドレスが必要です。しかし、サーバ自体にはプライベートIPアドレスを割り当て、NATすることがよくあります。
4 
  
そんなことをする意味はあるのですか?
そのままグローバルIPアドレスを使えばいいと思います。
DMZには予備サーバや試験環境など複数の機器が接続されている場合があります。グローバルIPアドレスは有限なので、それらすべてにグローバルIPアドレスを割り当てることは難しいケースがあります。また、サーバをDCに移設した場合に、グローバルIPアドレスが変わった場合にも便利です。サーバの設定変更は必要がなく、NAT変換だけですみます。

ここでは、以下のシンプルな仮想環境でNATの様子を確認ください。
3
(仮想)インターネットからは1.1.1.1のグローバルIPアドレスに通信をしているつもりですが、実際にはFWでNATされて、172.16.1.1に通信をしています。
NATテーブルとしては、単純ですが、以下のようになっています。
【NATテーブル】

変換前IPアドレス 変換後IPアドレス
1.1.1.1 172.16.1.1

また、NAT前のパケットと、NAT後のパケットを以下に記載します。同じシーケンスNOですが、宛先IPアドレスだけが変換されています。

▼NAT変換前

▼NAT変換後

3.NAPT(Network Address Port Translation)

(1)NAPT概要

・IPマスカレードと同じこと。正しくはNAPT。製品によっては、NAT+と表現するものもあるようだ。
・情報処理試験では、古くはIPマスカレードという表現を用いていたが、ここ最近ではNAPTである。答案に書くときは、「IPマスカレード」という表現を使わず、必ずNAPTと書くべきである。
・ネットワークスペシャリスト試験の過去問(H19NW午前 問36)では、NAPTに関して次の記述がある。

TCP、UDPのポート番号を識別し、プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスとの対応関係を管理することによって、プライベートIPアドレスを使用するLANの複数の端末が、一つのグローバルIPアドレスを共有してインターネットにアクセスする仕組み。

・NAPTは、セキュリティ面の効果もある。H21春AP問9では、NAPTに関して、「グローバルIPアドレス数の不足を解消するとともに、社内LAN上にある機器のアドレス情報を隠ぺいするという効果も実現している。」と述べられている。

・製品の実装次第ではあるが、ポート番号は重複が無い限り、ポート番号の変換(Port Translation)はしません。
たとえば、以下

■複数の送信元IPアドレスから、異なる送信元ポートで通信した場合(一般的にはこっちになる) ※宛先IPアドレスと宛先ポート番号は恐らく重複する

変換前   変換後  
送信元IPアドレス 送信元ポート番号 変換後IPアドレス 変換後ポート番号
192.168.1.101 10001 203.0.113.1 10001
192.168.1.102 25002 203.0.113.1 25002

■複数の送信元IPアドレスから、(偶然にも)同じポートで通信した場合

変換前   変換後  
送信元IPアドレス 送信元ポート番号 変換後IPアドレス 変換後ポート番号
192.168.1.101 10001 203.0.113.1 10001
192.168.1.102 10001 203.0.113.1 10002
(2)設定例

CiscoルータでNAPTの設定をやってみましょう。

interface FastEthernet1
 ip address 203.0.113.1 255.255.255.0
 ip nat outside

interface GigabitEthernet0
 ip address 192.168.1.1 255.255.255.0
 ip nat inside

ip nat pool patpool 203.0.113.1 203.0.113.1 netmask 255.255.255.0
ip nat inside source list 10 pool patpool overload
access-list 10 permit 192.168.1.0 0.0.0.255

※設定はもう少し簡略化できるはず。

(3)NAPTテーブルの例

見てみましょう。

Router#show  ip nat translations
Pro Inside global      Inside local       Outside local      Outside global
tcp 203.0.113.1:50024  192.168.1.2:50024  203.0.113.2:443    203.0.113.2:443
tcp 203.0.113.1:50025  192.168.1.2:50025  203.0.113.2:443    203.0.113.2:443
・・・
tcp 203.0.113.1:50986  192.168.1.4:50986  203.0.113.2:443    203.0.113.2:443
tcp 203.0.113.1:50991  192.168.1.4:50991  203.0.113.2:443    203.0.113.2:443
・・・

※203.0.113.1という1つのIPアドレスに、192.168.1.2と192.168.1.4の複数のポートが対応していることが分かります(=1対多)。また、ポート番号は保持していますが、実際には変わっていませんね。

(4)NATとNAPTの違い

NATとNAPTの違いですが、一般的には次のように言われることでしょう。
NATは1対1のアドレス変換。NAPTは1対多のアドレス変換。
具体的には、NAPTの場合、複数のプライベートIPアドレスを1つのグローバルIPアドレスに変換します。
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NATとNAPTの違いですが,何となく理解できません。
NATとNAPTの違いは,NATテーブルとNAPTテーブルを書いてみるとよくわかる。
①NATテーブル

変換前 変換後
200.1.1.1 192.168.1.100

②NAPTテーブル

変換前 変換後  
200.1.1.1 2000 192.168.1.100 1001
200.1.1.1 2001 192.168.1.200 1002

このように,NATテーブルはIPアドレスのみの変換テーブルを持ちます。NAT(Network Address Translation)という言葉の通りです。一方,NAPTテーブルは、NAPT(Network Address Port Translation)として名前に「Port」が入っているように、IPアドレスとポート番号の変換テーブルを持ちます。※ただ、実際のNATテーブルはどちらも同じだ。

では、ネットワークスペシャリスト試験の過去問を見てみよう。

ダイヤルアップルータやブロードバンドルータが、IPマスカレード機能を実現するために管理している情報はどれか。

ア IPアドレスと、ネットワークインターフェースカード固有のMACアドレスの対応
イ 一定時間内にアクセスしたURLとそのページの内容
ウ プライベートIPアドレス及びそのポート番号と、グローバルIPアドレス及びそのポート番号の対応
エ ホスト名とISPへ接続するたびに変わるグローバルIPアドレスの対応
(H16NW午前問25 IPマスカレード)






正解はウ