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リンクアグリゲーションとチーミング

 

(1)仕組みと目的

・IEEE802.3ad
・過去問ではリンクアグリケーションのことを、「コンピュータとスイッチングハブ、又は2台のスイッチングハブの間を接続する複数の物理回線を論理的に1本の回線に束ねる技術(H20NW午前 問24)」と述べている。CiscoではFEC(Fast EtherChannel)とかGEC(Gigabit EtherChannel)と言われているので、イーサチャネルという言葉のほうがなじみ深いかもしれない。
リンクアグリゲーション

では問題。リンクアグリゲーションの利点は何か?

これは即答してほしい。





答えは、①帯域拡大、②冗長化(による信頼性向上)、である。(※過去問H23NW午後Ⅱ問2より)
2
 
複数のポートを束ねることで、スイッチのMACアドレステーブルとかはややこしくならないんですか?
 そのあたりは仮想化の技術と同様で、利用者は意識する必要がなく、スイッチ側で処理している。
また、サーバのNICを冗長化する技術であるチーミングに関しても、理解してほしい。
女性直立
これは便利ですね。
最近はサーバとストレージ間で大容量の通信が必要になってます。
1Gを8本束ねれば、8Gbpsのスループットになりますね。
いや、ちょっと注意が必要だ。必ずしもそうとは限らない。

単純化して2本のLAGで考えます。
LAGの場合、1つのパケットを半分にして、2本の回線に同時に流すわけではありません。1つ目のパケットは1本目の回線、2つ目のパケットは2本目の回線などと、パケットを分散することで、冗長化と帯域向上を図っています。
LAG

よって、IPアドレスベースなどで負荷分散するため、同じIPアドレスとの通信だと、同じ線を使う。だから、8本あっても、実際には1本しか使われていないかもしれない。
女性ハテナ

なんでそんな仕様なんですか?
8本でロードバランスするような仕様にすればいいじゃないですか。
順序制御が難しいからね。
1000kのフレームと100kのフレームであれば、100kの方が速く届く。すると、フレームの順序が無茶苦茶になる可能性がある。だから、同じIPアドレス間の通信は同じ線で流すようにしている。イーサネットファブリックの仕組みは、技術的にこれを解消するものらしいので、対処できる製品もあるかもしれない。

(2)STPと比較したリンクアグリゲーションの利点

この点に関して、H28AP午後問5に出題がある。
「リンクアグリゲーションの構成は,STPの構成に比べて利点が多いことが分かった。(一部筆者が修正)」とあり、この利点が選択式で問われています。
正解は、以下の2つです。
・経路障害が発生したとき,通信が中断したとしても短時間で済む。
・経路障害が発生しても,L2SW2及びL2SW3の負荷は増加しない。

ただ、後者に関しては、スイッチングハブは負荷が高くなってもスループットが落ちるようなことはありません。
なので、利点としては、以下として整理できるでしょう。
①経路障害が発生したとき,通信が中断したとしても短時間で済む。
②ケーブルを束ねて通信できることで、通信帯域が拡大する。

(3)静的設定とLACP

固定で静的に設定する(Cisco社の場合のコマンドではmode on)場合と、LACPなどのネゴシエーションのプロトコルを利用して動的に設定する場合がある。動的に設定する場合は、ネゴシエーションなどを自動でやってくれるので便利であるが、異機種の場合は静的に設定したほうがよいだろう。

■CiscoのCatalystでの設定例は以下
(1)インターフェース1と2をLAG設定。
❶mode onで固定設定
Switch(config)#interface range fastEthernet 0/1 - 2
Switch(config-if-range)#switchport mode access
Switch(config-if-range)#switchport access vlan 10
Switch(config-if-range)#channel-group 1 mode on

❷LACPの場合  ※on をactiveにするだけ
Switch(config)#interface range fastEthernet 0/1 – 2 ←1番,2番ポートに設定
Switch(config-if-range)#switchport mode access  ←ポートVLANの設定
Switch(config-if-range)#switchport access vlan 10 ←VLAN番号を10に設定
Switch(config-if-range)#channel-group 1 mode active ←リンクアグリゲーションの設定

(2)状態確認コマンド
Switch#sh etherchannel summary
(中略)
Group  Port-channel  Protocol    Ports
------+-------------+-----------+-----------------------------------------------
1      Po1(SU)          -        Fa0/1(P)    Fa0/2(P)

(4)スイッチを冗長化するときの構成

スイッチを冗長化(、今回は2重化と考えてください)する場合の構成は、以下の2つが考えられます。
①STP+VRRPで冗長化する
②スタック接続し、ケーブルはリンクアグリゲーションとする。

Q1.L3スイッチを冗長化すると仮定して、それぞれの物理構成および論理構成を書け






A1.
stp+VRRP

Q2.どちらが利点があるか、具体的に述べよ。






A2.②の方が利点がある。その理由は以下です。
 ・処理速度の向上と、帯域を有効に使える点
   ①の場合は、利用しているのは1台の機器と片方のケーブル。
   ②の場合は、2台の機器と2台のケーブルを使える
 ・構成がシンプルになる
   STPやVRRPで、どこがブロックされているとか、どっちがマスターだとかの設計および状態確認をせずにすむ。
 ・切り替わり時間が速い
   特にSTPは切り替わりに時間がかかる

Q3.②の冗長化技術があれば、STPは不要か






A3.冗長化技術に関しては、その通りです。
ですが、STPはループ対策という重要なミッションがあります。
ネットワークスペシャリストを目指す女性SEあれ? 

スタック+リンクアグリを使えば、ループそのものを無くすことができますよね?
はい、無くすことができますので、シンプルで理想的な構成です。
ですが、過去にも多くの企業で経験があったと思いますが、誤ってケーブル接続することで、意図せずループすることがあるのです。だから、スタック+STPで冗長化をしていて、ループが無い構成であっても、STPはONにしておくべきなのです。

■参考解説
試験範囲を大幅に超えていますので、理解する必要はありません。
解説には設定に関する知識がいるので、読んでわからなくても構いません(説明も不十分ですが、ご了承ください)
ネットワークスペシャリストを目指す女性SEハテナ

①-Aの構成で、STPは必要ですか?
まあ、なくてもいいです。
①-Bにあるように、Standby trackという設定を入れればです。
具体的には、192.168.1.1のVRRPが切り替わったら、172.16.1.1のVRRPも切り替わるという設定です。
①-Bを見てみましょう。
もし、L3SWの下側のケーブルが断線した場合、VRRPによって、右側のL3SWがActiveになります。しかし、上位の172.16.1.1のセグメントでは、VRRPが切り替わりません。
そこで、①-Aのように、STPが有効でケーブルが接続されていれば、正常な通信ができます。
または、先に説明した、Standby trackという設定を入れて、上側のVRRPも切り替えます。 

■H30秋SM午前Ⅱ

問22 スイッチングハブ同士を接続する際に,複数のポートを束ねて一つの論理ポートとして扱う技術はどれか。

ア MIME   イ MIMO  ウ マルチパート  エ リンクアグリゲーション






正解:エ

(5)リンクアグリゲーションと負荷分散

リンクアグリゲーションでは、1つ目のパケットは1本目の回線、2つ目のパケットは2本目の回線などと、パケットを分散することで、冗長化と帯域向上を図っています。
つまり、負荷分散をしています。
さて、以下の図で考えましょう。
LAG
このとき、L3SW3からコアルータ1へ送られるフレーム(図のフレームA)の、送信元MACアドレスと宛先MACアドレスは何になるでしょうか?
ネットワークスペシャリストを目指す女性SEあれ? 

送信元MACアドレスはL3SW3、宛先MACアドレスは、コアルータ1ですか?
そうです。これは、送信元をPC1からPC2やPC3、宛先をサーバ1からサーバ2などに変更しても変わりません。ということは、[送信元MACアドレス,宛先MACアドレス]の組でハッシュ計算すると、常に同じ値になります。ですから、常に同じケーブルを使って通信がされるため、負荷分散がされません。
ですが、実際には、スイッチングハブは各ポート単位でMACアドレスを持っています。なので、負荷分散的には、同一の宛先MACアドレスではないのです。(要確認)

2.チーミング

2 
チーミングとリンクアグリゲーションって一緒ですか?
どちらも、LANケーブルを冗長化する技術だったと思います。
まあ、同じと考えてもいいが、厳密には違う。
多少乱暴ではあるば、リンクアグリゲーションは、NW機器の冗長化。チーミングはサーバのNICの冗長化と考えておいてよい。
実際の設定も、リンクアグリゲーションの設定は、SWで設定し、チーミングの設定はサーバにて設定する。
過去問では、両者に関して以下の説明がある。これからも、リンクアグリゲーションはNW機器、チーミングはサーバのNICの設定と考えられる。

これらのL2SWから,サーバ,NAS間の接続には,リンクアグリゲーションを設定します。サーバとNASのNICには,チーミング機能を設定して2本の回線に負荷を分散させ,[ ? ]と冗長化を図ります。(H23NW午後Ⅱ問2)






ちなみに、[ ? ]には、帯域増大が入る。
ネットワークスペシャリストを目指す女性SEあれ? 

なぜ2つの技術があるのですか?どちらか1つでもいいと思います。
たしかに、どちらもLANケーブルを冗長化するという点では同じです。
スイッチのポートと、サーバのNICの違いを述べるとすると、サーバのNICはMACアドレスを持ちます。2枚のNICがあれば、本来であれば2つのMACアドレスを持ちます。通信をする際にはMACアドレスをどうするのか、そのまま使うのか、仮想MACアドレスを使うのかなども含めて考慮する必要があり、異なる技術になります。

■参考情報
某サーバの設定を確認したところ、チーミング方式は以下の3つがあった。
①Active-Standby:Activeを使う。障害がおきればStandbyに
②Active-Active:ロードバランス 
③Active-Active:リンクアグリゲーションと同じ(だと思う)

※①の場合、MACアドレスは2つのNICで同じものを使う。メーカによって違うが、仮想MACを持つのではなく、AcitveのMACアドレスをStanby時にも利用すると思う。

※③の場合、100MのNICであれば200Mのスピードを出すことができる。しかし、対向もリンクアグリゲーションに対応している必要があるので、③を使うことは少ないだろう。