ネットワークスペシャリスト - SE娘の剣 -

左門至峰によるネットワークスペシャリストの試験対策サイトです。勉強方法、合格体験談、合格のコツ、過去問解説、基礎知識などの紹介します。

ストレージ全般

1.NASとは

・NAS(Network Attached Storage)は,「ネットワークに接続された記憶装置」と訳すことがでる。過去問では「直接LANに接続し,異なるOSの複数のコンピュータでファイルを共有することができる。(ソフトウェア開発技術者H20午前問29)」と述べられている。
ざっくり理解するなら,ファイルサーバと思ってもらっても間違いではない。ただ、厳密には違う。

・NASのアクセス権に関しては、ネットワークスペシャリスト試験の過去問に記載があるので紹介する。
1台のNASをLANで接続された複数台のコンピュータから利用するときの説明として、「NASの利用IDとコンピュータのログインIDが同一である必要はなく、NASの利用IDによって各ファイルに対するアクセス権が決まる。(H20NW午前 問5)」との記載がある。
sef1 

言っている意味が分かりませんが……
「NASの利用IDとコンピュータのログインIDが同一」というのは、WindowsのActiveDirecotryをイメージするといいだろう。ログインしたIDで、ActiveDirecotry配下のサーバにそのままログインできて、アクセス権も設定されているという状態だ。
しかし、ファイルサーバがActiveDirecotryの管理下に無かったとしても、ファイルサーバは当然利用できる。都度、ID/Passを入れて認証すればいいのだ。

2.RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)

▼1.RAIDとは
Redundantとは「冗長」、Arraysは「配列」という意味、expensiveは「高価な」という意味であるため、Inexpensiveはその否定語で「安価な」という意味である。
これらを踏まえて直訳すると「安価なディスク配列を使った冗長化」ということになろう。(個人的には、直訳を知るととてもうれしくなる)

一般的に利用されているのはRAID0,RAID1,RAID5の3つとその組み合わせである。

RAID0(ストライピング)
「なぜ0か。0ってどんな意味があるのか?」と疑問に思わなかったであろうか?理由は簡単である。
RAID0はRAIDが意味する冗長性を持たないからである。
RAIDとしては1~5が冗長性を持ち、あとからRAID0が追加されたのである。
冗長性どころか、どちらか一台が壊れただけでもRAID0は使えなくなるので、信頼性は低下する。
2台のディスクから同時に読み取るので、読み込みが速い。
しかし、書き込みは高速化されるとはいえない。(なぜかは後ほど)

ディスクは2台以上必要である。

RAID1(ミラーリング)
ミラー(鏡)という言葉のとおり、2つのディスクで鏡をつくる。
2つのディスクで情報を2重にもつため、片方が壊れてもよい。
1つのディスクの信頼性が90%とした場合、ミラーリングすると信頼性は99%にまで高まる。

RAID5
N台のディスクで構成すると、N-1がデータ領域、1台分がパリティ領域である。
2台が同時に壊れると復旧できない。
複数のディスクから同時に読み取るので、読み取りが速い。
書き込むときは、パリティを計算しながら書くので、速くなるとはいえない。

図にすると、以下のようになります。
1

[参考]
RAID4
RAID5はパリティ領域を複数台で均等に持つが、RAID4はパリティ専用
の領域を持つ。RAID5を利用することは少ないが、NetAppなどはこの方式を利用することができる。 

RAID6
RAID5はパリティ領域を1ディスク分つ持つが、RAID6はパリティ領域を2ディスク分持つ。2重障害にも対処しようという考えである。2つのディスク
にて、パリティの取得方法を変えている。

ソフトRAIDとハードRAIDの違い
企業ではハードRAIDが一般的だと思う。
ハードRAIDはRAIDコントローラが存在し、このRAIDコントローラがRAIDの処理をするので、高速になる。(というか、サーバ本体の負荷が軽い)
RAIDを組んでいるかどうかはOSからは意識する必要がない。壊れたら、ハード的かつBIOSレベルでの設定が必要である。

ソフトRAIDは、OSでのRAID処理を行うので、処理が遅くなる。
Windowsでいうと、ディスクの管理(?)かなにかでRAIDの設定ができる。

▼2.過去問

問4 ディスク装置の構成技術であるRAIDに関する次の記述を読んで,設問1,2に答えよ。
RAIDとは,Redundant Array of Independent (又は,Ineχpensive)Disksの略で,独立したディスク装置を複数台用いて,可用性が高く,高速で大容量の補助記憶装置(以下,ディスクアレイという)を構築する技術である。 RAID には,実現方法によってレベルがある。代表的なものを次に示す。
RAID0 : ストライピングとも呼ばれる。データを複数のディスク装置に分散して配置することで,読込み/書込み速度を向上させる。RAID0には冗長性がないので,ディスクアレイを構成しているディスク装置のうち,いずれか1台にでも障害が発生すると,ディスクアレイは稼働不能となる。
RAID1 : ミラーリングとも呼ばれる。同じデータを複数のディスク装置に書き込むことで,いずれか1台のディスク装置に障害が発生しても,ディスクアレイとして稼働するようにしている。
RAID4 : RAIDO0と同じように複数のディスク装置をストライピングで構成するが,パリティと呼ばれるエラー訂正情報を保持するパリティディスクがあり,いずれか1台のディスク装置に障害が発生してもディスクアレイとして稼働する。読込みはストライピング効果で高速であるが,書込みはパリティディスクにアクセスが集中するのであまり速くない。
RAID5 : RAID4を改良し,固定であったパリティディスクを分散させることで,パリティディスクヘのアクセスの集中を防ぎ,高速化を実現している。
RAID01 : ストライピングしたディスク装置群を一つの単位としてミラーリングすることで, RAID0の高速性を保ちながら,高可用性を実現している。
RAID10 : ミラーリングしたディスク装置群を一つの単位としてストライピングすることで, RAID1の高可用性を保ちながら,高速性を実現している。

設問1 図は,ディスクアレイの構成をRAIDのレベルごとに表したものである。①~⑤のRAIDレベルを,本文で示した六つのRAIDレベルの中から選択し,それぞれ答えよ。
なお,図中の数字はデータのブロック番号,Pはパリティを表している。
raid

では、この問題の設問を解いてみましょう。





正解は以下です。
①RAID0
②RAID5
③RAID4
④RAID10
⑤RAID01

3.ストレージネットワークの種類

①従来のIPによるNAS
②FC(Fibre Channel)を使ったFC-SAN
③SCSIをIPプロトコルでカプセル化したiSCSI
④FC-SANとLANを統合するFCoE(Fibre Channel over Ethernet)。FCのフレームををイーサネット上で動作させる。
s1
s2

4.SCSI、IDE(ATA)、SAS、SATA

SCSI(Small Computer System Interface)

スカジと言えばスカイラインGT-Rを思い浮かべる人は多いだろう。しかし、ちょっと発音が違ってスカジイだ。

そして、車の車種ではなく、インターフェースを指す。日本のJISにあたる米国のANSI(American National Standard Institute)によって規格化されている。
SCSIのケーブルには最大16(?)の機器を数珠つなぎに接続することができる。ハードディスクやテープ装置などをつなげる。

ATA(Advanced Technology Attachment)
IDE(Integrated Drive Electronics)規格のハードディスクが安さの力で人気があった。1999年に作った私の自作PCもIDEハードディスクである。SCSIディスクは高かった。ATAはIDEの規格をANSIが標準化したもの。

SAS (Serial Attached SCSI)
SCSIはもともとパラレルだったが、SASではSerial接続にして高速化している。パラレルよりシリアルの方が高速という点に違和感があるかもしれないが、実際そうらしい。
SASはインターフェースを指すが、「SASのハードディスク」と言われることがある。これは、SASの規格に対応したハードディスクということ。

SATA (Serial ATA)
SASがSCSIのシリアル版であるのと同様に、SATAはATAのシリアル版。SASのハードディスクに比べて安価である。
SASかSATAのどっちか?という比較がよくなされている。コスト優先であればSATA,1日8時間以上稼働させる業務システムであればSASが良いだろう。

5.ディスク装置とテープ装置の違いを述べよ

ディスク装置はハードディスクを思い浮かべてほしい。USBによる外付けハードディスクがわかりやすいかもしれない。テープ装置はDAT(Digital Audio Tape)やLTO(Linear Tape Open)を思い浮かべてほしいLTOのOはOpenを意味し、特定のメーカにとらわれないOpen系のテープという意味だと思う。私はLTO4をよく使うが、転送レートが120Mbps、テープ容量が800G(圧縮時最大1.6T:こんなに入るわけないが)というすぐれものである。DATにOSイメージファイルを取得して何時間もかかってたイライラがLTOで一気に解消された。ただLTOは装置もメディア(テープのこと)のどちらも高いが、それ以上の優れものだと思う。

話がそれたが、
◆ハードディスクのメリット
・ハードディスクは読み書きが速い。テープは、テープをマウントする処理が走ったりするため、ハードディスクほどの便利さが無い。
・テープ装置へ書き込んだり読み込むにはソフトが必要であるが、ハードディスクは不要

◆テープ装置のメリット
・テープは単価が安い。800GのLTOテープであれば、実売7000円程度であるが、ハードディスクではありえない金額である。
・保存に便利。ハードディスクは振動などに弱いので、BCPの観点から遠隔地に運ぶことを考えると故障が怖い。その点、テープは安心である。

◆接続インターフェース
どちらも同じかな?調査します。SASかSCSI、そのあたりだと思う。

6.RAID5はどうしてどのディスクが壊れても復旧できるのか?

わかりやすく書いているつもりだが、わかりにくいかもしれないので、それはご了承ください。
簡単な例として、ディスクを3台とする。
RAID5
データ領域は3ビットとする(左の番号がビット数を表わしている)。1台目には000の3ビット、2台目には011の3ビットが格納されている。
RAID5なので、3台で2台分のデータ領域を持つ。3分の1の領域がパリティである。 よって、各ディスクでは3ビットの中で、2ビットがデータ領域、1ビットがパリティである。
1台目でいうと、1ビット目と2ビット目がデータ、3ビット目がパリティである。
パリティの計算方法は、ディスク横断でパリティを計算する。(注意)
なぜなら、ディスクごとにパリティを計算した場合、ディスクが壊れるとパリティも同時に壊れるので、復元ができない。
1ビット目のパリティの計算方法は、0+0=0である。

ではここからが本題。
どのディスクが壊れても、本当に復旧できるのか?
できたらすごいことだ。だって、1台分のパリティで、どのディスクが壊れてもいいということは、実質3台分のデータを持っているのと同じだからだ。
今回は3台だけであるが、10台であればすごいことになる。10台分のバックアップをとるには10台のディスクが必要だと思うが、それもわずか1台でやってしまっている。
私はかなり感動しているのだが、私だけだろうか。

では、1台目が壊れたとする。
1台目の1ビット目の計算式は以下だ。
1台目 + 2台目 =パリティ(3台目) ※+は論理和
2台目は0でパリティは0なので、1台目は0が求められる。
これを繰り返せば良い。なので、ディスク障害を復旧するには多少の時間がかかる。

どうでしょう、これを考えた人はすごいですね。どのディスクが壊れても復旧できました。

この手順を見れば、複数ディスクが同時に壊れた時は復旧できないことがお分かりいただけると思います。

7.ファイルサーバとNASの違い

Q.ファイルサーバとNASの違いは?






A.同じと思っていいです。
ファイルサーバは汎用機、NASは専用機(アプライアンス)と思ってください。
ただ、Windowsの場合、専用機といってもハードは同じです。OSが違います。Windows2003ServerとWindwos2003StrogeServerの違いです。

Q.具体的には何が違うのか?






A.WindowsStorageServerは、NASを利用するためのツールのみを搭載。つまり、不要な機能を削除。NASで管理するのは、RAIDの管理やユーザ、アクセス権の管理などである。