ネットワークスペシャリスト - SE娘の剣 -

左門至峰によるネットワークスペシャリストの試験対策サイトです。勉強方法、合格体験談、合格のコツ、過去問解説、基礎知識などの紹介します。

LANケーブルなどの伝送媒体

1.光ファイバー

光ファイバーケーブルは、中心部には、光が通る部分であるコアがあり、その周りを光が漏れないようにするクラッドで覆い、さらにその周りをカバーとなる樹脂で被覆してできています。

言葉がいろいろあります。覚える必要はないのですが、参考までに。
①光ファイバー:コアとクラッド(被覆無し)
②光ファイバー素線 
③光ファイバー心線:0.9mm
④光ファイバーコード:心線を外皮や繊維で覆う
⑤光ファイバーケーブル:心線やコードをシースで覆う
https://blog.nttrec.co.jp/lantester/blog.nttrec.co.jp
(旧リンク)http://www.ns-jpn.co.jp/lan-fiber8.htmlhttp://www.ns-jpn.co.jp/lan-fiber8.html

以下は光ファイバーコードを切って開いたところ。光ファイバーの心線が見えます。
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光の速さは約30万km/sec(真空時)になります。
電気信号も光速に近いスピードですが、そんなに速くないイメージがありますよね。
それは媒体によります。光ファイバー、同軸ケーブル、LAN(UTP)ケーブルなどの媒体によって速度は大きく変わります。

Q.光ケーブルとLANケーブルって何が違うの?






A.LANケーブルは伝送媒体に「銅線」を用いていました。光ファイバーケーブルでは、伝送媒体に石英ガラスまたはプラスチックでできた光ファイバーを使っています。

Q.光って波?






A.はい。そうです。光波です。
音波や電波と同じ波です。

Q.では光でどうやってデジタル信号を送っているの?
 波で01をどう送るの?






A.波による信号が送られたら1、送られなかったら0というようにして01を
送ります。

Q.光ファイバーはLANケーブルに比べてがなぜあんなに高速?






A.波長が短い(周波数が大きい)ので、1秒間に送れる波の数が多い。
波の数だけ01を送れると考えれば良いので、

Q.光ファイバーでの距離ってたしか50kmだと思う。海外までの光ファイバーってどうやってその距離制限を超えてる?






A.光信号の拡張装置(リピータみたいなもの)があります。それを一定間隔で設置します。
ただ、海の中で電源取れないので、PoEのような仕組みで、光ケーブルを通じて電気も送ります。
たとえば、日本とアメリカも、1本の光ケーブルで接続されています。(それが何十本とあります)。
よって、日本のNW機器でARPテーブルを見ると、アメリカのNW機器のMACアドレスが見えます。
web1

なんかすごい!!

Q.光ケーブルはどこに挿すの?






A.サーバであればHBAのポートですし。スイッチなどのネットワーク機器であえれば、GBICやSFPのスロットにGBICやSFPを挿し、LCコネクタやSCコネクタで接続します。
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写真:左はSCコネクタ、右はLCコネクタ

スイッチに接続した様子。右側が光ケーブル、左側がLANケーブル(ツイストペアケーブル)です。

2.ケーブルの種類とイーサネットの規格

イーサネットの規格として、以下の表記方法を使う場合があります。
1000 BASE-T
 ↑速度  ↑伝送方式 ↑ケーブルの種類

この表記の意味ですが、順に、回線速度(上記の場合は1000Mbps)、伝送方式(上記の場合は、ベースバンド方式※注)、ケーブルの種類(上記の場合はツイストペアケーブルのT)です。

以下に、イーサネットのいくつかの規格を紹介します。

規格 速度 ケーブル 距離
100BASE-TX 100Mbps ツイストペアケーブル(Cat5以上) 100m
1000BASE-T 100Mbps ツイストペアケーブル(Cat5e以上) 100m
1000BASE-SX 1Gbps 光ケーブル(マルチモード) 550m
1000BASE-LX 1Gbps 光ケーブル(マルチモード、シングルモード) マルチモード(550m)
シングルモード(5km以上)
2.5GBASE-T 2.5Gbps ツイストペアケーブル(Cat5e以上) 100m
5GBASE-T 5Gbps ツイストペアケーブル(Cat5e以上) 100m
10GBASE-T 10Gbps ツイストペアケーブル(Cat6以上) 100m
10GBASE-SR 10Gbps 光ケーブル(マルチモード) 300m
10GBASE-LR 10Gbps 光ケーブル(シングルモード) 10km
10GBASE-ER 10Gbps 光ケーブル(シングルモード) 40km

※距離は,製品や規格によって変わりますので,目安と考えてください。
上の表の中で、比較的新しい規格として、2.5Gbpsまたは5Gbpsの通信速度のイーサネット規格(IEEE 802.3bz)があります。これは、マルチギガビットイーサネットと呼ばれます。(1ギガではなくマルチのギガと覚えてください。)
この規格の特徴は、広く普及しているカテゴリ5eやカテゴリ6のケーブルがそのまま使えます。もちろん、PCのNICやスイッチは、2.5GbEに対応の製品に置き換える必要がありますが、10Gbpsにするよりは、導入しやすいと言えます。

◆1000BASE-T
・IEEE 802.3abで規定されている。
・100BASE-TXでは、1,2ポートが送信で3,6ポートが受信に使われる。
これに対し1000BASE-Tでは、各ポートが全二重通信をする。各ペアで250M、合計4本で1000Mである。
・過去問では、1000BASE-Tの説明として、「4対のUTPケーブルを使用し、最大距離は100mである。(H19NW午前問 45)」と述べている。
・全二重ということは、上りと下りで各1000Mなので、合計2000Mbpsである。

過去問(H20NW午前 問42)
LANケーブルに関する説明として、適切なものはどれか。

ア LANケーブル内の対になった導線がより線となっているのは、導線に発生する外来ノイズを減らすためであり、ケーブル内のすべての対のピッチは均一の方が効果が高い。
イ カテゴリ5EのUTPケーブルは1000BASE-Tで利用される非シールドより対線であり、2本の導線が4対収められている。
ウ カテゴリ6のUTPケーブルを使用する1000BASE-TXでは、1対のより線で250Mビット/秒のデータを上り下り同時に送り、4対合計で1Gビット/秒の全二重通信を実現している。
エ 対線は2本の導線の電位差で情報を伝え、この対線に発生する外来ノイズの大きさは2本の導線の間隔に反比例する。






正解は イです。
ア:よる長さであるピッチは、バラバラの方が効果が高く、実際のLANケーブルでも、ピッチはバラバラです。
イ:正解選択肢です。UTPは非シールドのより対線です。
ウ:1000BASE-TXではなく、1000BASE-Tの内容について述べています。
エ:外来ノイズの大きさは、導線の間隔が大きくなるほど大きくなります。

3.MDIとMDIX

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・MDI(Medium Dependent Interface)
・MDIX(Medium Dependent Interface Crossover)
MDIのIはインターフェース(Interface)を意味し、LANにおける通常の接続インターフェースである。
一方、ストレートケーブルで接続できるように12-36をクロスしたインターフェースがMDIXである。

Auto MDI/MDI-X(またはAuto MDI-X)とは、自動でMDIとMDI-Xの判別を行う仕組みである。
H21年午後1問1には次の記載がある。

L2SWにはAuto MDI/MDI-X(またはAuto MDI-X)と呼ばれる、接続機器のポートの属性を識別して、自ポートの結線をストレート又はクロスに自動的に切り換える機能がある。

ちなみに、1000BASE-Tでは、Auto MDI/MDI-X機能の実装が必須であるため、最近のPCやネットワーク機器では、ストレートケーブルやクロスケーブルを意識する必要はありません。クロスケーブルのニーズも高くありません。

4.LANの規格とケーブル

(1)LANケーブル(ツイストペアケーブル)

・ネットワークのケーブルで、我々が最も日常に使っているのは、ツイストペアケーブル(いわゆるLANケーブル)です。
・LANケーブルは、銅線でできています(このあとに写真あり)。ちなみに、光ファイバーケーブルは光ファイバーでできています。
・ツイストペアケーブルには,UTP(Unshielded Twist Pair)ケーブル(下の写真の右)とSTPケーブル(下の写真の左)の2つがあります。UTPケーブルは、シールドに覆われていない(Unshielded)ツイストペアケーブルです。シールドに覆われているSTP(Shielded Twist Pair)ケーブルに比べてノイズを受けやすいのですが,取り扱いが簡単で安価であることから,広く普及しています。

❶STP(Shielded Twist Pair Cable)
シールドに覆われたツイストペアケーブルで、ノイズを受けにくい。
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❷UTP(Unshielded Twist Pair Cable)
UTPはシールドに覆われていないツイストペアケーブルである。STPに比べて取扱いが簡単だし安価である。ノイズを受けやすいことは事実であるが、通常の環境では問題にならないので、とても普及している。
LAN

(2)ピンアサインについて
■電話線は1対(2芯)、LANケーブルは4対(8芯)と必ず偶数で構成されていますが、なぜでしょう。






答えですが、LANは直流の電気信号で伝搬する。電気回路には行きと帰りが必要。回路にすることで電気が流れます。だから必ず対になることが必要。
□→→→→□
↑    ↓
□←←←←□

◆線の詳細
12が送信のペア(相手の36に送ります)
36が受信のペア
4578は利用してません。(なくても通信できます。)
pinアサイン

◆なぜPC間はクロスケーブルにする必要があるのか?






12が送信用で36が受信であることは全PCで共通しています。
もし、2台のPCをストレートケーブルで接続すると、、
[PC1]     [PC2]
1(送信)→→→1(送信)
2(送信)→→→2(送信)
3(受信)←←←3(受信)
4
5
6(受信)←←←6(受信)
7
8
このように、PC1の送信データがPC2の”受信”ではなく”送信”ポートに送られます。これでは、正常に通信ができませんよね。
送信ポートから受信に送るため、1236のケーブルをねじるクロスケーブルが必要になります。
[PC1]     [PC2]
1(送信+)→→→3(受信+)
2(送信-)→→→6(受信-)
3(受信+)←←←1(送信+)
4
5
6(受信-)←←←2(送信-)
7
8
※ +にはプラスの電流、-にはマイナス電流が流れます。

(3)カテゴリー

ツイストペアケーブルは、伝送する信号の周波数や伝送速度、伝送距離、ノイズ耐性などによって、以下の表のようなカテゴリー(category:区分)に分類されます。
カテゴリーの規定以上の機能は期待できないため、たとえば、1Gbps(1,000Mbps)の伝送速度を実現するには、その速度に対応するカテゴリー5e(Cat5e)以上の規格のケーブルを、10Gbpsであればカテゴリー6A(Cat6A)以上の規格のケーブルを使う必要があります。
上位のカテゴリーほど性能が優れていますが、そのぶん価格が高くなります。
利用したいネットワークの速度と価格のバランスを考慮して、ケーブルを選択しましょう。

カテゴリー 最長距離 最大速度 UTP/STP
Cat5 100m 100Mbps UTP
Cat5e 100m 1Gbps UTP
Cat6 100m(10Gbps の場合は55m) 1Gbps/10Gbps UTP
Cat6A 100m 10Gbps UTP/STP
Cat7 100m 10Gbps STP
Cat7A 50m(100Gbps の場合は15m) 40Gbps/100Gbps STP
Cat8 30m 40Gbps STP

* Cat5e の「e」はenhanced(高めた)、Cat6A の「A」はaugmented(拡張された)の意味であり、どちらも、同じカテゴリー内での品質を高めた規格です。

5.モジュラジャック

ネットワークスペシャリスト試験の過去問(H23NW午後1問3)を見てみよう。

過去問(H23NW午後1問3)
DSUとFWの接続には,一般的に[ オ ]と呼ばれるモジュラジャックが付いているケーブルを用いる。






LANケーブルも同じで、RJ-45というコネクタを用いる

正解:
オ RJ-45

6.光回線(Bフレッツなど)とADSL

女性直立


構成図は自分で書けるようにしてください。
◆光回線(Bフレッツ) ※局内はイメージ
PC --- ルータ --- ONU --- 光分配機(収容局外)--- 光分配機(収容局内)--- OLT --- L2SW --- PPPoEサーバ ---
専用線などを経由 --- 各ISP

・ONU(Optical Network Unit:光回線終端装置):光信号(光ケーブル)と電気信号(LANケーブル)の変換。ISPから提供されるインターネット用の光回線を顧客の設備とを接続する装置。
以下の図を見ておくと、イメージしやすいかも
ybb.softbank.jp
物理的、電気的、論理的に変換機能として、OLTからの情報の中で、自分に該当する情報のみを受けとる。

※OLT(Optical Line Terminal):ONUと機能は同様。局内に設置され、時分割多元接続(TDMA)により、各ONUと衝突させずに通信する
※PON (Passive Optical Network) :光分配器(光スプリッタ)を使って、光ケーブルを分岐する。分配器は局内で4分岐、局外で8分岐が可能であるため、最大32分岐。コスト削減ですね。
Passiveというのは、Activeの反対の意味であるが、電源が不要で、受けて流すだけの簡易なものという意味と考えればよいと思う。

◆ADSL
PC --- ルータ --- ADSLモデム --- スプリッタ--- MJ --(導線)--電話 局へ
※スプリッタからの分岐を意味している。

ネットワークスペシャリスト試験の過去問を紹介する。
記載がある。

過去問(H18NW午前 問35)
ADSLモデムでは、音声通話で利用しない周波数帯域で複数の搬送波を使ってデータ通信を行う。各搬送波ごとに、1変調につき128値、変調速度が1,000ボー、搬送波数が200の場合、通信速度は何Mビット/秒か。






【解説】
これは難しい。
128値の128=2の7乗
7 x 1,000 x 200 = 1,400,000 = 1.4M

◆認証の流れ
パソコンがPPPoEで接続する場合、ユーザ名@プロバイダ名でアクセスする。
PPPoEサーバが、@以降を読み取り、各プロバイダへ振り分ける。
各プロバイダとはRadius接続を実施する。

◆光回線(Bフレッツなど)とADSLの違いは?
ネットワークスペシャリスト(NW)試験 H19午後?-1にいくつか書いてありますね。

参考
PPPoE---PPPをLANで運ぶ,認証と振り分けで活躍(下) | 日経クロステック(xTECH)
・ネットワークスペシャリスト(NW)試験 H19午後?-1