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PPP

1.PPP

女性腕組み・PPP(Point to Point Protocol)という言葉のとおり、点(Point)から点(Point)への通信プロトコルである。ようは、1対1の通信で利用されるプロトコル。
・データリンク層のプロトコルである。つまり、IPアドレスなどには関与しない。
・アナログ電話やISDNでのダイヤルアップで使われたことが、皆さまには馴染み深いかもしれない。
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最近のパソコンではあまり見かけないが、このように、RJ11という規格のインターフェースがある。ここに電話線をつなぎ、ダイヤルアップ接続をすることが可能だ。

しかし、今はほとんどがRJ45と呼ばれるLANのインターフェースであり、今後使うことはないかもしれない。
では、設定方法を見てみよう。Windows7のOSを使った設定画面は以下である。
「コントロールパネル」「ネットワークの状態とタスクの表示」「新しい接続またはネットワークのセットアップ」「インターネットに接続します」「ダイヤルアップ」を洗濯します。※再度確認の必要あり
以下のように、ダイヤルアップ接続の画面が出ます。
内容はダミーを入れておりますが、LAN接続とは異なり、電話番号を入れ、ユーザIDとパスワードで認証をします。IPアドレスは、手動で設定することも、自動で付与してもらうことも可能です。ただし、この自動付与はDHCPではありません。
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・過去問ではPPPに関して、「WANを介して二つのノードをダイヤルアップ接続するときに使用されるプロトコルで、リンク制御やエラー処理機能をもつもの(H20秋AP午前-問55)」と述べている。
・過去問では、PPPに関して「リンク確立フェーズの後に認証プロトコルを実行することができる(H20NW午前 問33)」と述べている。ここでいう認証プロトコルはPAP(Password Authentication Protocol)とCHAP(Challenge-Handshake Authentication Protocol)である。
・PAPやCHAPは言葉の通り、パスワード認証プロトコルであり、PAPやCHAPによって、ダイヤルアップにおける認証を行う。
・PPPを拡張したのがEAP(Extensible Authentication Protocol)である。
・イーサネット上でPPPを利用するのがPPPoE(PPP over Ethernet)である。

▼接続構成
ダイヤルアップ接続を受け付ける側は、リモートアクセスサーバという専用サーバを設置し、サーバ群があるLANに接続する。
ppp

▼PPPのフレームフォーマット
項目は以下
・フラグ (1)
・アドレス(1)
・制御(1)
・プロトコル(1 or 2)
・データ(可変)
・FCS(2 or 4)
・フラグ (1)
※かっこの中はバイト数

2.PAPとCHAP

PAPやCHAPは言葉の通り、パスワード認証プロトコルであり、PAPやCHAPによって、ダイヤルアップにおける認証を行う。

1)PAP(Password Authentication Protocol)
IDとパスワードを平文で流す

2)CHAP(Challenge Handshake Authentication Protocol)
・メッセージダイジェストを使うので、パスワードが暗号化して流れる。
・過去問ではCHAPの説明として、「PPPのリンク確立後、一定の周期でチャレンジメッセージを送信することによってユーザ認証を繰り返すプロトコルである(H17NW午前 問29)」と述べている。

3.PPPoE

イーサネット(Ethernet)上のPPPだからPPPoE(PPP over Ethernet)です。。ATM上のPPPも存在し、PPPoAと言います。従来のインターネット接続はPPPによるダイヤルアップ接続でした。PPPであれば、ユーザ認証ができるし、どれだけ接続したかの管理(課金管理)も可能です。ところがADSLやBフレッツのように、LAN(イーサネット)で接続する場合は、ユーザ認証ができません。
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たしかにそうですね。
HUBにつなげば誰でもLANを利用が使えますから、それと同じ理屈ですね。
そこで、ユーザ認証機能を持つPPPの仕組みを、イーサネット上でり利用するために、PPPoEが使われるようになりました。
 過去問では、PPPoEに関して、「シリアル回線で使用するデータリンクのコネクション確立やデータ転送を、LAN上で実現するプロトコル(H31春SC午前2問19)(H19NW午前問 37)」と説明しています。
以下の図を見てください。
まず、Bフレッツなどのインターネットの物理的な接続構成は以下のようになっています。
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パソコンはルータやONUを経由してNTTなどのキャリアの光回線に接続されます。キャリアでは、BAS(Broadband Access Server)というPPoEを受信する装置があります。PPPのときのRAS(リモートアクセスサーバ)と同じです。そこから、ISP(プロバイダ)に接続されます。
認証の流れは以下のようになっています。
PCは通信キャリアのBASにてPPPoE接続をします。PPPoEの設定で入力した「ユーザ名@プロバイダ名」(samon@isp-1.xxx)とパスワードを送信します。NTTのように、ISPのプロバイダが選べる通信キャリアの場合は、BASにて@以降のプロバイダ名を見て、プロバイダに認証を転送します。このときのプロトコルはRadiusです。ここで認証が許可されると、インターネットにプロバイダ経由で接続されます。
pppoe2

PPPoEの処理は、PPPoEサーバであるBASとPPPoEクライアントソフトで実現します。最近のOSには、PPPoEのソフトが入っていますので、ソフトを使っている感覚は少ないかもしれません。以前の古いOSでは、フレッツ接続ツールなどの、PPPoE接続用のソフトを別途インストールしていました。
IPアドレスは、固定で割り当てることも、自動で取得することも可能です。ただし、この自動付与の仕組みはDHCPとは異なります。

・通常のフレーム
[宛先MAC(6)][送信元MAC(6)][タイプ(2)][  データ(最大1500)  ][FCS(4)]
※タイプフィールドにはIPを示す0x0800が入る。

・PPPoEのフレーム
[宛先MAC(6)][送信元MAC(6)][タイプ(2)][PPPoEヘッダ(6)][PPPヘッダ(2)][  データ(最大1492)  ][FCS(4)]
※タイプフィールドにはPPPoEを示す8863か8864が入る。
※PPPoE用のヘッダが入ることからMTUは1500-8=1492になる。

▼PPPoEヘッダのフォーマット
・バージョン(4bit)
・タイプ(4bit)
・コード(8bit)
・セッションID(16bit)
・長さ(16bit)

4.インターネットに接続してみよう

では、インターネットに接続してみましょう。
自宅からフレッツ光とプロバイダの契約をし、インターネット接続を行います。
ブロードバンドルータを使うことがほとんどであるが、今回はパソコンから直接インターネットに接続をします。

Windows8の場合は以下です。「ネットワーク」を右クリックの「プロパティ」「新しい接続またはネットワークのセットアップ」「インターネットに接続します」
ここで、「ブロードバンド(PPPoE)」を選択します。
pppoe

プロバイダの情報を入力します
pppoe2
これで、「接続」ボタンを押して接続です。
IPアドレスやDNSなどのネットワーク設定は、自動で割り振られます。
以下のように、自分で設定することも可能です。(通常のLANのIPアドレス設定画面とは若干違います)
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このように、今ではPPPoE接続によるインターネットがほとんどです。
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PPPoEなんて広く使われているんですか? インターネットは会社のネットワークに接続すればできますから、PPPoEは不要です。また、友達の家のインターネットは、回線業者から送られてきたルータに接続すると、インターネットができます。
たしかに、パソコンの設定でPPPoEを使うことはほぼないでしょう。でも、ほとんどの企業では、インターネットに接続するルータやFWにてPPPoEの設定をしています。
※専用線接続により、PPPoEを使わない場合もあるが、例としては少ない。
また、回線業者から送付されてきたルータとのことですが、恐らくPPPoEの設定がされているはずです。
pppoe

PPPoEを理解する前に、その基本となる技術のPPPから理解しましょう。